冤罪の犠牲



20XX年、増加する犯罪に対処すべく大幅な刑法改正があった。
基本的な思想は「目には目を、歯には歯を」だ。
軽犯罪も例外ではない。
例えば、痴漢で逮捕された場合には、女性化させられ、犯罪を犯した同じ電車で、痴漢される罰が科せられる。
ただ、誤認逮捕で罪を犯していない者まで女性化させられるというケースも稀にあるという。


近藤稔は平凡なサラリーマンだ。
毎日決まった時間に出勤し、毎日決まった時間に帰宅する。
ライフワークバランスやワークシェアリングの考えが行き渡ったこの時代では残業なんてよっぽどのことがないと発生しない。
稔自身、ここ数年残業なんてものはやっておらず、平々凡々の毎日を過ごしている。
稔はもうすぐ30になろうという年齢だったが、多くの同世代の者と同じように独身だった。
夫婦別姓になってからは家族という意識も希薄となり、結婚していようが同棲であろうが法律の下でそれほどの差がなくなってから、結婚する者たちは確実に減っていた。
このことが少子化にさらに拍車をかけ、大きな社会問題になっているのだが、政府の無策ぶりには呆れるばかりだった。
稔は同棲しているわけでもなく文字通り独身でひとり暮らしをしていた。

「この人、痴漢です」
ある日、いつものように電車に乗っていると隣に立っているOL風の女が騒ぎ出した。
稔は「また馬鹿なおっさんがつまらないことして」くらいしか思わなかった。
するとその女が稔の右手を持って再度大きな声を出した。
「この人、痴漢です」
「えっ!?」
稔はあまりのことに絶句した。
目の前の女はギャアギャア騒いでいる。
稔にはようやく自分の身に起きたことだと認識できた。
「ちょっ…ちょっと待ってよ。僕の右手はずっと吊革を持ってたし、左手はホラッ」
稔は左手に持っていた鞄を女性に見せた。
(これで納得してくれるだろう)
稔はそう考えたが、その考えは甘かった。
「それじゃ私が嘘を言ってるって言うんですか?痴漢したくせに図々しい」
「いっ…いや、君が嘘を言ってるって言うんじゃなくって、僕には君を触ることができないということを言いたいだけで…」
「いいえ、私はあなたに触られました」
女ははっきりと言い放った。
周りの乗客はすでに稔のことを痴漢として見ているようだ。
「と…とにかく次の駅で降りよう」
「望むところです。あなたみたいな男は警察に突き出してやらないと私たち女性は安心して電車に乗れませんから」
稔とその女は次の駅に着くと揃って降りた。
「ちょっと落ち着いて僕の話を聞いて欲しいんだ」
「私は痴漢の言うことなんて信じません」
稔と女は降りたホームで言い争いをしていた。
そこへ駅員らしき男が近づいてきた。
「どうしたんですか?」
「こいつ、私に痴漢したくせにやってないって言い張ってるんです」
「とにかく駅長室で話を聞きましょう」
稔は駅長室に連れて行かれた。
そこでも話は十分に聞いてもらえずそのまま警察に連行された。
「僕はやってない!」
「そんな強情張ってないで。やったって認めれば今日のうちに帰れるんですよ。やってないと言い続けるとこのまま拘留して裁判を受けてもらわないといけませんから」
「そんなこと言われてもやってないものはやってないんだ」
結局稔は裁判にかけられた。
判決は有罪だった。

「痴漢の刑罰はご存知ですか?」
稔は刑務所の中の小綺麗な部屋にいた。目の前に座った女が静かに話を切り出した。
「女性にされて痴漢体験すると聞いてます」
「そうです。ただし実際に女性になってもらうわけではありません。初犯ですので、バーチャルリアリティの中で痴漢の被害者としての体験してもらいます。それによって痴漢される側の嫌な思いを知っていただいて再発防止につなげるわけです」
「分かりました」
稔は反抗する気力も失せていた。
「それではこのヘッドギアを被ってください。すぐに始めます」
稔は大人しくヘッドギアを被った。
すぐに眠りに落ちていった。

稔はバーチャルリアリティの中で女子高生になっていた。
セーラー服を着て、太ももがほとんど見えるミニスカートを穿いていた。
(今日はすごく込んでるわね)
稔は周りの男性のおじさん臭さが気になった。
(もうこんなおじさんばかりで今日はついてないなぁ。もっと格好のいい男性がいればいいのに)
そんなことを考えているとお尻に触れるものを感じた。
稔がお尻に神経をやると、それはスカートの中に入ってきてゆっくりとお尻を撫で回した。
(やだっ、痴漢?)
その手はゆっくりと長い時間をかけて稔のお尻を撫で回した。
稔が声を出せずにいると痴漢の手は股間に移動した。
(あっ、だめ)
痴漢の手が稔の溝にそってゆっくり前後に何度も往復した。
稔は恐怖で声も出せなくなってしまっていた。
痴漢の手がショーツの中に滑り込んできた。
稔は恐怖で固まっていたが、身体は確実に触られることで高まりに向かっていた。
痴漢の指はすでに湿っている稔の溝に割り込んできた。
「ぃやっ…」
「声を出すと周りのやつらにバレるぜ」
そんな声が聞こえた。
周りの客の顔も痴漢の顔もはっきりと見えなかった。
男の指がクリトリスに触れた。
稔は漏れそうな声を必死に押し殺した。
立っているのもつらかった。
痴漢の指が稔の中に入ってきた。
「やめてっ」
稔はたまらなくなって叫んだ。
周りの乗客は何の反応もなかった。
痴漢は稔の声を無視して指を稔のオマンコの中で上下させた。
「ぁ…ぃゃ……ぁぁ……」
稔は指を入れられる嫌悪感にもかかわらず、それでも身体が反応することに絶望感を感じていた。
「それじゃ本番に行かせてもらおうか」
痴漢の声が聞こえてきたかと思うと、太いものが稔の身体を突き上げた。
「いやぁ〜……やめて〜〜〜」
稔は大声をあげた。
稔が大声をあげているのに、他の乗客の動きはない。
そもそも痴漢処罰のバーチャルリアリティだからそんなところは作りこんでいないのだ。
しかし稔は自分がこんなひどい目に遭ってるのに何も助けてくれない周りの乗客を恨む気持ちが湧き上がってきていた。
「すごい…あんたのオマンコが俺のチンポを締めつけてくるぜ」
「いやぁ…変なこと…言わないで…」
「そんなこと言いながらあんたは自分で腰を振ってるぜ」
「いやっ……そんなこと…してない……」
「自分で認めたくないだけだ。あんたはすごくスケベエな身体してるんだ」
「そんなこと…ない……」
「まあどうでもいいさ。それじゃフィニッシュにしてやるよ」
男の動きが激しくなった。
男の精液が稔の中で噴出した。
稔の意識はホワイトアウトした。

気がつくとさっきの部屋にいた。
時間は10分も経っていなかった。
「どうですか?女性のつらさが実感できましたか?」
「…」
「これに懲りてもう二度とこんなところに来ないようにしてくださいね」
稔は刑務官の言葉にうなずいた。
そして約1ヶ月振りに釈放された。

稔が久しぶりに部屋に戻ると会社からメールが届いていた。
状況を確認してから処分するのでとにかく一度会社に顔を出すようにということだった。
どうせ懲戒免職になるんだろうと思っていたが、根が真面目な稔は会社だけには顔を出さないといけないと考え、とにかく明日会社に行くことにした。

翌日、稔はいつもと同じようにいつも乗る時刻の電車に乗った。
そこには稔を冤罪に陥れた女がいた。
稔は自分の感情を抑えきれず女に掴みかかった。
「あんたのせいで僕は」
俺が彼女の肩を掴んで文句を言おうとすると女が叫んだ。
「きゃあ痴漢よぉ。助けてぇ」
稔は再び痴漢で逮捕された。
釈放されてすぐの逮捕に今度は全く容赦がなかった。
今度の処罰は現実に女性化させられ痴漢に遭うことだった。

「これは約10時間ほどの間、性を変換させる薬です。これからこの薬を飲んで女性になって、ラッシュアワーの電車に乗ってもらいます。そこであなたは痴漢に遭います。バーチャルリアリティでは精神的にも女性でしたが、今回はあなたはあなた自身の意識を持ったままです。すなわち、男の気持ちを持ったまま女性にさせられ痴漢に遭うわけです。この屈辱感によって、前回より強いショックをあなたに与えて犯罪の再発を防ごうということが目的です。いいですね?」
目の前の女が稔に一粒の薬とコップに入った水を差し出した。
稔はおとなしく薬を飲んだ。
周りの景色が廻り出した。
身体の内臓が大移動を始めたような強い違和感と痛みが襲った。
「うわぁぁぁぁ」
大声を出して床でのた打ち回った。
稔には永遠のような時間に感じられたが、実際の時間にすると1分もなかったようだった。
突然スッと痛みが引いた。
稔は立ち上がった。
「痛っ!」
胸に痛みを感じた。
手をやるとそこにはふくよかな乳房があった。
痛みは乳首がTシャツに擦れることによるものだった。
「えっ、これって?」
「あなたの身体が女性化しました。今6時ですから、何もなければ夕方には元の姿に戻れて釈放されます」
「何もなければって?」
女はそれには答えず紙袋を差し出した。
「すぐこれに着替えてください」
稔は紙袋の中身を見た。
いかにも安物の黒のリクルートスーツみたいな上下と白いブラウスとベージュのショーツとブラジャーとパンストが入っていた。
「これを着るのか?」
「そうです。早くしてください」
稔は上半身の服を脱いだ。
稔の胸には綺麗な乳房ができていた。
それほど女性経験があったわけではないが、こんなに綺麗な乳房は見たことがなかった。
稔は自分の胸から視線を外すことができなかった。
「自分のおっぱいに見惚れてないで早くブラジャーをつけてください」
女はイライラしているようだった。
「そんなこと言ったってブラジャーなんかつけたことがないから」
稔がブラジャーを摘まみあげるように持ち上げながら言った。
女はそれを奪うように取りあげた。
「私がつけてあげます」
稔はおとなしく女にブラジャーをつけてもらった。
「ちょっとブラが小さかったですね。少し間なので我慢してください」
ブラジャーは苦しかったが、ブラジャーをつけると何となく落ち着くような気がした。
「はい、それじゃ、次はこれを着て」
白いブラウスを渡された。ボタンが右左逆だったので少し留めづらかったが何とか着た。サイズは少し小さめで苦しかった。
「ブラと言い、ブラウスと言い、小さいですね。もうひとつ大きなものにしましょう。ちょっと待っててください」
女が部屋を出て行った。
女は部屋を出るときに入り口に立っていた男の職員に何か話しているようだった。
すると男の職員が部屋に入ってきた。
稔が逃げないように監視しているようだ。
男は稔の姿を見てニヤニヤしていた。
「男のくせに女にさせられた感想はどうだ?なかなか綺麗になったじゃないか。俺はアンタみたいに無理やり女にされたやつを見ると無性に抱きたくなるんだよ。何なら俺と一発やらないか?」
稔は男を無視した。
「ちょっと綺麗になれたからってお高くとまりやがって。まあいいさ、電車の中で俺の手でアヘアへ言わせてやっからよ」
「お前が痴漢役なのか?」
「そうさ。まあ楽しみにしてなって」
「男を触って嬉しいのか?」
「だからさっき言っただろ?アンタみたいに無理やり女にさせられたやつが大好きだって。しかも刑罰という合法的にできるんだぜ?最高だろ?」
「変態!」
「男のくせに女になったやつに言われたくないね。お前のほうがずっと変態だろ?」
稔は何も言い返せなかった。

女が新しい紙袋を持って帰ってきた。
「それじゃ着替えるから出て行ってもらえる?」
「はい、分かりました」
男はさっきとは全く違った口調で答えて、出ていった。
「さっきより1サイズ大きいものを持ってきたわ。これに着替えて」
稔は再度服を脱いで新たに持ってきたブラジャーとブラウスに着替えた。
今度は確かにピッタリだった。
「今度はいいようね。それじゃ次はパンストね。こうやって丸めて」
女はパンストを丸めて稔に手渡した。
稔は椅子に座ってゆっくりと丸めてる部分を伸ばしていった。
「そうそう、うまいじゃない。もしかしたら穿いたことがあるの?」
「そんな…あるわけないじゃないですか」
「そうなの?まあどっちでもいいけどね。それじゃスカート」
稔は黒のタイトスカートを受取った。
「これはどっちが前ですか?」
「適当なところで留めてファスナーを上げて。でファスナーがついてるほうを後ろにクルッと回せばいいわ」
稔は言われた通りにした。
「はい、それじゃあこっちにお化粧をするから」
「化粧なんていいですよ」
「何、言ってるの?年頃の女性が化粧もせずに出歩くなんてありえないでしょ!」
俺は鏡の前に座らされた。
このとき稔は初めて自分の姿を見た。
ほとんど顔は変わってないのだがなぜか女性の顔に見えた。
それも結構美人だった。
髪の毛がそのままなのはウィッグをつければいいだろう。
上半身しか見えないがスタイルも十分良さそうに見えた。
こんな女がいれば確かに触りたくなる。
稔は自分の頬を触ってみた。
男のときとは違いスベスベしているように感じた。
「あなた結構美人になったわね?」
稔が自分に見惚れていると女が言った。
「もっと美人にしてあげるから座って」
稔は女に化粧を施された。
稔は鏡の中で綺麗に変わっていく自分に驚いていた。
髪が短いが十分に美人だった。
「はい、できあがり。美人になったでしょ?それじゃそのスーツを着て。すぐに出かけましょ?」
「えっ、髪の毛は?」
「それでいいじゃない。十分に似合ってるわよ」
「でも…」
「ウィッグをしたいの?」
稔は恥ずかしそうにうなずいた。
「仕方ないわね。種類はないわよ。ここは美容院じゃないんだから」
女はそう言って扉の向こうに立っている男にウィッグを取ってくるように命じた。
男はすぐに戻ってきた。手にはダークブラウンのウィッグを持っていた。
「それじゃこっちに来て」
女は稔の頭にウィッグを被せた。
稔は鏡を見た。
そこには素晴らしい女性が立っていた。
その素晴らしい女性が今の自分の姿だということが嬉しかった。
稔はずっと自分の姿を見ていたいと思った。
「はい、じゃあ行くわよ」
稔は黒いスーツを着て女のあとにしたがった。
部屋を出るとさっきの男ともうひとりの男がいた。
「それじゃお願いね」
「了解しました」
男たち二人は敬礼した。
女は稔を残してどこかに行った。

「いい女になったじゃねえか。こんないい女は本物の女でもそういないぜ。それじゃ行こうか」
「どこに行くの?」
男たちは顔を見合わせて笑った。
「おい、聞いたか?『どこに行くの?』だってよ。こいつ、心まで女になっちまったみたいだな」
稔はそう言われて自分のことを女だと錯覚していることに気づいた。
「うるさい、ちょっと言い間違えただけだ」
「なあんだ、もう元に戻っちまったのかよ。もうちょっと女になってくれてたら面白かったのによ」
男たちは両側から稔の腕を掴んで建物の前に止まっている車に乗せた。
「駅に行ってくれ」
車が動き出した。
「野間さん、そいつが痴漢犯なんですか?」
運転手が聞いた。
下品な言い方する男は野間というようだ。
「そうだ」
「ということはそいつは男なんですよね?それが分かってても一発やりたくなるようないい女ですね?」
「そうだろ?俺なんかこいつの姿見ただけで立っちゃったぜ」
野間は俺の顔を見てニヤニヤして言った。
「何なら触ってみるか?」
野間は稔の手を取って自分の股間を触らせた。
「やめろ、気持ち悪い。僕は男だぞ」
稔は慌てて手をひっこめた。
「男だったら触りなれてるだろ?恥ずかしがって手をひっこめるなんてやっぱり心まで女になってるんじゃないか?」
野間は再び稔の手を取って股間に置いた。
稔はあまりの行為に腹が立って、怒りに任せ野間の睾丸を握った。
「いってぇ!」
野間が股間を押さえた。
「野間、どうしたんだ?」
野間と反対側に座っている男が言った。
「こいつが俺の金玉を握りやがって」
「ほぉ、これから刑罰を受けるくせに舐めた真似しやがって。こいつにはもうちょっと厳しいお仕置きをしなくちゃいけないみたいだな」
「じゃやるんですか、岸さん?」
「しゃあないだろ、こいつの態度が態度だからな」
「僕をどうするんだ?自分たちの判断で刑を勝手に変えていいのか?」
「別にいいんだよ。犯人に人権なんてないんだからよ」
「あとで言ってやるからな」
「公務執行妨害だからな。スムーズに刑の執行ができないと判断した場合は、俺たちが適切に判断して刑を変えていいことになってるんだよ」
岸の落ち着いた口調に稔は反抗しても無駄なことを悟った。
「おい、行き先変更だ」
「了解。俺も参加していいすか?」
「もちろんだ。こういう反省してないやつにはしっかり反省させるのが俺たちの仕事だからな」
車は稔を乗せたままホテルに入っていった。

岸が先頭を歩いて、野間と多田が稔の両腕を掴んで続いた。
岸が部屋のドアを開けると野間が稔の背中を蹴って部屋の中に入れた。
稔は部屋の真ん中で倒れた。
「それにしても本当に美人だな。こんな女を抱けるなんて役得だな」
岸が倒れた稔ににじり寄ってきた。
「やめろ。僕は男だぞ。男を抱いて嬉しいのか!」
「ごちゃごちゃうるさいんだよ。女の子はもっとおとなしくしなくちゃな」
稔は後ずさった。
だが稔の行く手をベッドが阻んだ。
「ほらっ、ベッドにあがれよ。俺は別に床でもいいんだが、それじゃ背中が痛いだろ?俺は意外と優しいんだぜ」
「嫌だっ」
「おい、野間、多田。手伝え」
野間と多田が稔をベッドに放り投げた。
そして逃げようとする稔の両腕をそれぞれで掴んだ。
岸は稔の腰辺りに座りブラウスの上から乳房を触った。
「ほぉ、立派なおっぱいじゃないか」
岸は乱暴に稔の乳房を掴んだ。
「痛いっ」
「これはさっき野間にした分の罰だ。それじゃそろそろ刑の執行に入ろうか」
「何を言ってるんだ。これは立派な強姦じゃないか」
「強姦?痴漢も強姦も似たようなもんだろ?痴漢の罰を実行しようとする刑務間に暴行を働いたから痴漢+暴行の罰になったんだ。今の俺たちには法という後ろ盾があるんだ。ごちゃごちゃ言ってないで諦めな」
岸は稔の唇に唇を重ねた。
稔は岸の唇を噛んだ。
稔から離れた岸の口元には血が流れていた。
「なかなか気の強いやつだ。でもこれくらいの方が面白いかもな」
岸は一気にブラウスの前を開けた。
ボタンが飛び散った。
稔は反射的に右手で乳房を隠した。
「いいねえ、その格好。処女を相手にしてるみたいだ」
岸は稔の右手を軽く引き離した。
「お前は女なんだから俺と力比べをしようたって無理なんだよ」
岸はブラジャーを上にずらし、現れた乳房にむしゃぶりついた。
『ペチャペチャペチャペチャ…』
岸はわざと音をたてるように乳房を舐めまくった。
稔は男に舐められていることで気持ち悪いと思うのだが、乳房から湧き上がってくる快感はどうしようもなかった。
「あぁぁぁ……」
「気持ちいいのか?そうだろ。気持ちよかったら思い切り声を出していいんだぜ」
岸は乳房を優しく揉んだ。
時々乳首に当たる指が稔の身体に電流を流した。
「…ゃ……ゃめて…くれ……」
岸は稔の乳首を思い切りつまみあげた。
「痛い!」
「お前は女なんだ。もっと女らしく話さないともっと痛い目に会うぜ」」
稔は岸に恐怖を感じた。
「…ゃめて……お願い…」
「やめていいのか?すごくよがってるくせに」
岸は手のひらに軽く乳首をあて、ゆっくりと回すように動かした。
「…ぁぁぁぁぁぁ……」
「お前、なかなかいい顔でよがるじゃないか。とても元男には見えないな」
岸は厭らしく笑った。
「そろそろお前たちにも変わってやらんとな」
そばにいた多田と野間に言った。
「は、はい、よろしくお願いします」
「それじゃこいつを裸にしろ」
野間と多田が稔の着ている服を全て剥ぎ取った。
稔は抵抗する気もなく野間と多田が脱がしやすいように身体を動かした。
その間に岸も着ている者を脱ぎ去っていた。
「それじゃお前のバージンを奪ってやるからな」
岸は稔の股間に手をあてた。
「もうグチョグチョじゃねえか。準備万端ってわけだ」
「…ゃめて……お願い…」
稔は何を言っても無駄だと思いながらも言わざるをえなかった。
岸は稔の溝の中に指を滑り込ませ何かに触れた。
「痛いっ」
「ちょっと強かったな。これがクリトリスだ。これをこうやると…」
「ぃぃぃぃぃ……ぁぁぁぁあああああ……」
稔は自分が大きな声をあげるのを抑えきれなかった。
「本当に敏感な女だな。それじゃ肝心なところの味見をさせてもらうとするか」
岸は稔の膣口にペニスをあてた。
「それじゃいくぜ」
岸のペニスがゆっくりと稔のオマンコに入ってきた。
「さすがに処女だけあって締め付けが強いな。なかなかいい具合だ」
「い…いたい……」
稔は痛みしか感じなかった。
「処女だからな。痛いのは最初だけだ。すぐに気持ちよくなるからな」
岸の動きが止まった。
「全部入ったぜ。どうだ、男に填められた気分は?」
「……」
「気持ちよすぎて何も言えねえか。そうだろう?さっきからお前のオマンコは俺のペニスに早く動いて欲しくってキュッキュッて締めつけてくるんだからな。ほら、言ってみな。"あなたのザーメンをあたしの中で出して"って」
「誰が…」
言い返そうとすると、稔は頬に強い痛みを感じた。
岸にビンタされたのだ。
「まだお前は自分の立場が分かってないようだな。お前に選択権はないんだよ」
「…あなたのザーメンをあたしの中で出してください……」
稔は悔しくて涙を流した。
「泣くほど俺のザーメンが欲しいのか?お前らも聞いただろ?こいつが俺のザーメンを欲しがったんだよな?」
「はい、確かに聞きました」
「それじゃリクエストに応えてやろうか。俺は優しいからな」
岸は稔の様子を見ながらゆっくりゆっくり腰を動かした。
最初は痛みだけだったのが、徐々に痛みの中に別の感覚が生まれてきた。
「…ぁぁぁぁぁ……ぃぃ……」
「ほら、こいつ、感じ出しやがったぜ。こんなに早く感じるなんて本当に淫乱な女だな」
稔は観念して岸のペニスの動きで生み出される快感に身を任せていた。
強姦されている意識もどこかにいっていた。
気持ちいい。
ただそれだけだった。

稔が快感に身を任せていると岸が言った。
「ところで、知ってるか?もしお前が妊娠したら男に戻れなくなるんだぜ」
「!?」
「今どきの薬ってのはなかなかよくできていて、女になった身体をちょうど排卵日前の状態に調整することができるんだってよ。この意味が分かるか?俺が今、お前の中で出したら妊娠する可能性が高いってことだよ」
「嘘だっ、やめてくれ」
稔は必死に岸から離れようとした。
二度三度岸にビンタされた。
それでも稔は必死に抵抗した。
「おいお前ら、こいつを押さえろ」
岸は自分ひとりではどうしようもないと思って二人に命じた。
さすがに男三人を相手にしては稔も自由に動けなくなった。
「それじゃさっさと出しちまうとするか」
岸は激しく腰を振った。
「やめろ……やめてくれ……中はやめてくれ……」
「お前がリクエストしたんだろうが。もう観念しな」
岸が雄叫びをあげたかと思うと動きを止めた。
その瞬間稔の中に熱いものが放たれたのを感じた。
稔自身も絶頂を迎えていた。
軽く痙攣し意識がなくなるほどの快感を感じていた。

「なかなかよかったぜ」
岸が稔の唇に軽くキスをした。
稔には快感のせいで意識がはっきりせず、最初のように唇を噛むという反抗することもできなかった。

「それじゃ次は俺の相手を頼むぜ」
すぐに野間が稔を抱いた。
もう稔には反抗する気力も残っていなかった。
野間も同じように稔の中で射精した。
多田も同様だ。
結局岸に2回、野間と多田に3回抱かれて、稔の「刑」は終わった。

刑務所に戻る車で岸が言った。
「今日の話は100%報告しても俺たちには何の罪にもならないから正直に話していいんだぜ。今の世の中、少子化が進んでるだろ?お前たち痴漢の犯人や強姦の犯人にはその対策で子供を産んでもらうんだよ。しかもお前たち受刑者は中絶を受けることはできない。まあ運良く妊娠しなければ男に戻れるんだからな。妊娠したら不運だったと諦めるんだな。産まれた子供は子供が欲しい夫婦に育ててもらうからお前は子育てはしなくっていい。その代わり公営の風俗店で働いてもらう。言わばお前のこれからの人生はセックスと出産のマシンってわけさ」

稔は刑務所に戻って調書を取られた。
岸に言われた通り、正直にあったことを話した。
しかし出来上がった調書は稔の話は全く書き留められていなかった。
電車の中で痴漢され恐かったこと、もう二度と痴漢はしないと誓ったということが綴られていた。
「こんなもの嘘だ」
稔がいくら声を張り上げて言っても目の前の女は冷ややかな目で見るだけだった。
それは翌日の明け方まで続いた。
稔がウトウトしかけるとコップの水を顔にかけられた。
結局、稔はその調書に無理やりサインさせられた。

結局稔は24時間経っても男に戻れなかった。
岸の言う通りだとするとおそらく妊娠したのだろう。
父親は岸か野間か多田の3人ということになる。
稔は3人の中で岸に対しての憎悪が大きかった。
したがって岸の子を身籠るなんて絶対に嫌だった。
しかしお腹の子の父親は岸だという確信に似た気持ちがあった。
これは女の勘なのだろうか?

稔は刑務所で"近藤美奈"という名前が与えられ、女性刑務所に移された。
その女性刑務所では公営の風俗店を経営していた。
岸に言われた通り、美奈はその公営風俗店で働かされた。
本番OKしかも料金は格安だった公営風俗店は客の足が途絶えることはなかった。
しばらくすると美奈の妊娠が確認された。
刑期が終了しても何かと理由をつけられ刑務所から出ることはできなかった。
ただ牢屋ではなく、決して広くはないがそれなりの部屋が与えられた。

お腹が目立ってくると妊婦専用の風俗店に回された。
美人な美奈は妊婦であっても同じくらいの指名があった。
妊婦とのセックスが好きだという男が世の中にこんなに多いとは思わなかった。
臨月まで美奈は男の相手をした。

美奈は男の子を産んだ。
お腹の中で子供が元気に動いているのを感じるたびに美奈に母性本能が育っていた。
気持ちの面で母親になっていた美奈は、ずっとセックスづくめの中で生まれた子供が元気に五体満足に産まれてくるか不安だった。
しかし美奈の心配をよそに、産まれてきた男の子は元気だった。
美奈は自分の産んだ子をその手に抱くことなく子供はどこかに連れて行かれた。
「あたしの子供を返して」
「何を甘えたこと言ってやがる。子供の行き先は決まってるんだ、安心しな」
母性本能が出ていた美奈にとって、自分の産んだ子供を抱けないのはつらいことだった。
子供を産んで落ち着くと再び男の相手をさせられた。
子供がいなくなっても子供を産んだ身体の仕組みとしておっぱいからはミルクが出てくる。
これが一部の男たちにはたまらない魅力だった。
美奈は多くの男のためにミルクを出した。

美奈はほとんど生理すら経験せずに次々と妊娠した。
まさに出産マシンだった。

結局刑務所から解放されたのは閉経を迎えた52歳だった。
おそらく子供も産めない女に食わせる飯はないということなのだろう。
わずかばかりの金を持たされて世間に放り出された。
30年近く社会と隔絶された刑務所の中に閉じ込められ、世間との接点は風俗店でだけ。
そんな状態で50を過ぎたおばさんがひとりで生きていけるほど世間は甘くなかった。
美奈は場末の風俗店に潜り込み、男の相手をして生きていくしかなかった。
そんなところの衛生状況はいいわけがなく、気がつくと変な咳が止まらなくなっていた。
そして出所してわずか3ヵ月後に美奈は死んだ。
やっと痴漢の刑期から本当の意味で解放されたのだった。


《完》

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