24時間



僕は矢木駿吾。
今年高校に入ったばかりの高校1年生。
入学して、迷うことなくブラスバンド部に入った。
このブラスバンド部が予想以上に結構ハードで、土日も関係なく練習をするのだ。
入部して半年以上が経つが、完全オフの日は今日まで10日前後しかなかった。
明日はほとんど1ヶ月ぶりの完全オフの日。
いつもより足取り軽く家路についた。
僕は久しぶりのオフの一日を、思いっきり寝ることに決めていた。
僕はマンションのセキュリティを解除し、エントランスに入った。
そしてエレベータに乗り、僕の部屋のある7階を押した。

時刻はそろそろ1時になる。
朝からずっと練習でお腹がペコペコだ。
「ああ、腹減ったなあ」
誰もいないエレベータでお腹を押さえた。
7階に着いた。
僕がエレベータから出ると、どこからか女の人の声が聞こえた。
「ちょっと待って。今すぐ誰か連れてくるから」
そして部屋から女の人が飛び出してきた。
隣の部屋の美智子さんだった。
2年くらい前に越してきた新婚さんだ。
背が小さくて、童顔で、いつも元気で、とても26歳には見えなかった。
本人に年齢の話をするとすごく怒られるから要注意だけど。
強いて言うなら小野真由美に似てる、かな。
冬だというのにすごく短いスカートを穿いてる。
スカートから伸びた脚がすごく綺麗だ。
しかもタンクトップだし。
美智子さんだけ季節が夏みたいだ。
世間は吐く息が白くなる季節だというのに。

僕が驚いて立ち止まると、美智子さんと目が合った。
「あ…こんにちは」
「あら、駿くんじゃない?…ちょうどよかった。入ってくれない?」
僕は何事だろうと訝りながらも美智子さんの後にしたがった。

「ねえ、この子でもいい?」
美智子さんが話しかけた先にはピエロの人形のようなものがあった。
「ああ、別に誰でもいいぜ。じゃ、そいつと入れ替えればいいんだな?」
僕は頭が変になったんだろうか?
人形みたいなものが話しているように見える。
「うん、お願いね」
美智子さんは当然のように人形と話をしている。
「それじゃ、行くぜ」
人形の言葉とともに僕の視界が歪んだ。
それはすぐに戻った。
ただ視点がさっきとは微妙に変わっていた。
「やったぁ、入れ替わったぁ」
声のするほうを見ると、そこには僕がいた。
(何が起こったんだ?)
「それじゃ24時間だけだからな。24時間経てばお主らの意志にかかわらず元に戻るからそのつもりでな」
そんな言葉を残してピエロの人形のようなものはすぅっと消えた。

「何が起こったんですか?」
僕は僕の姿をした人に聞いた。
「わたしと駿くんの身体を入れ替えてもらったの」
やっぱり僕の身体は美智子さんが入っているようだ。
「どうして?」
「だって毎日同じようなことばっかりでつまんなかったんだもん。で『誰かたまには代わってぇ』って空に向かって叫んだら、さっきいてた変な奴が空から降ってきたんだ。気味悪かったんだけど、『誰と入れ替えればいいんだ?俺は1分で消えるぜ』っていうもんだから…」
「急いで僕を連れてきたってことですか?」
「そう…ごめんね…でもこれって24時間経てば元通りに戻るから…大丈夫よ」
「本当に大丈夫かなぁ…」
「とにかくごめんね。時間がもったいないから。それじゃ、あとよろしくね」
そう言って僕になった美智子さんは飛び出していった。
「ちょっ…ちょっと…美智子さん」
僕は美智子さんを止めようと大きな声を出した。

僕が大きな声を出したものだからひろしくんが目を覚ました。
宇宙の宙と書いてひろしと読むんだそうだ。
こんな名前でこれから大変なんじゃないかなって思う。
宙くんは僕が高校に合格したころに産まれたって聞いたから、9ヶ月くらいかな?
「オギャアオギャアオギャア」
「ええ、どうしたらいいんだよ。赤ちゃんなんて」
僕は恐る恐る宙くんを抱き上げた。
当然泣きやまない。
宙くんは僕のおっぱいを一生懸命つかもうとしている。
「ええっ!おっぱい!?」
ようやく美智子さんの言った『入れ替えてもらった』の意味が分かった。
美智子さんが僕の姿になっちゃっただけじゃないんだ。
僕は美智子さんになっちゃったんだ!
僕は泣き叫んでいる宙くんを放っておいて、洗面所に走った。
鏡には驚いた顔をした美智子さんが映っていた。
「嘘…だろ…」
僕は鏡に顔を近づけた。
鏡に映った美智子さんも近づいてくる。
僕は恐るおそる自分の胸に手をあてた。
手のひらから柔らかい膨らみを感じる。
慌てて自分のタンクトップの中を覗いた。
青いブラジャーが見えた。
ブラジャーの中には小さくない乳房が見えた。
僕はタンクトップを捲り上げた。
鏡の中にブラジャーをあらわにした美智子さんが映っている。
「それじゃ…」
僕はスカートの中に手を入れた。
「ないっ!」
僕は本当に美智子さんになっちゃったんだ。
呆然と鏡を見てる僕に宙くんの泣き声が現実に引き戻してくれた。
「あっ、そうだ。宙くんを忘れてた」

僕は宙くんのところに戻った。
「でもどうすりゃいいんだよ?赤ちゃんなんて分かんないよ」
僕はとりあえずあやそうと宙くんを抱き上げた。
宙くんはやっぱり僕のおっぱいをつかもうとする。
「おっぱいを飲みたいのかな?」
僕はタンクトップを捲り上げ、ブラジャーをずらしておっぱいを出した。
すると、宙くんが僕の乳首に吸い付いた。
宙くんの吸い方はすごく強かった。
「痛い!」
僕は慌てて宙くんを離した。
離すとすぐに宙くんが激しく泣き出した。
「お腹が空いてるのは分かったけど、もうちょっとゆっくり頼むよ」
僕は宙くんに言い聞かせるように言った。
再び乳首のところおに宙くんの口を持って行った。
宙くんは懸命におっぱいを吸った。
痛いのは変わらなかったけど、それなりに覚悟していたせいか何とか我慢できた。
「赤ちゃんって可愛いな」
しばらくすると痛さもなくなり、一生懸命におっぱいを吸っている宙くんが愛おしく思えてきた。
やがてお腹がいっぱいになったのか宙くんは眠り始めた。
「確かおっぱいをあげたらこうするんだったよな」
僕は宙くんの頭を肩に乗せ背中をさすった。
これは親戚のお姉さんに教えてもらったのだ。
こんなところで役に立つとは思わなかった。
宙くんはすぐにゲップをした。
「これでよしっと」
僕は宙くんをベビーベッドへ寝かせようとした。
するとすごい音がして異臭が立ちこめた。
宙くんがウンチしたみたいだ。
僕は大きなタオルを広げ、そこに半分眠ったような状態になっている宙くんを置いた。

(おむつってどこにあるんだろう?)
宙くんが寝てる辺りには見あたらなかった。
押入れにでもあるのかと思い、押入れを開けようとしたときだった。
テーブルに置いてあった携帯が鳴った。

僕は携帯を取った。
見覚えのある電話番号が表示されている。
僕は電話に出た。
「もしもし…」
『もしもし、駿くん?』
電話はやっぱり美智子さんだった。
僕の携帯からかけてるのだ。
「美智子さん!早く戻ってきてくださいよ。宙くんがウンチしてどうしていいか分かんないんですから」
『宙がウンチ?駿くん、何か食べさせたの?』
「…おっぱい、あげました……」
『あっちゃぁ、おっぱいあげちゃったんだ。ミルクに切り替えてたのに。宙のやつ、またしばらくグズるだろうな』
「すみません、おっぱいあげちゃいけなかったんですか?」
『いや、別に。ところでおっぱい吸われる感じってどうだった?』
「…もう…そんなことはどうでもいいですから早く戻ってきてくださいよ」
『こっちもいろいろあって戻れないのよ。ウンチはウェットティシュで綺麗に拭いておむつを替えてくれればいいから。おむつは押し入れに入れてあるわ。それから夜、宙にはキッチンにある離乳食の缶詰を食べさせて。寝る前にはミルクを200ccくらい飲ませれば朝まで起きないからね』
「僕はまだお昼ご飯も食べてないんですよ」
『冷蔵庫の中にあるもの、何でも食べてくれていいからね』
「ご主人が帰ってきたらどうしたらいいんですか?」
『そっか。パパのこともしなきゃいけないもんね。すっかり忘れてた。料理なんて無理よね?だったらスーパーで出来合いの物を買ってきて、皿に盛り付けてくれればいいわよ。宙の世話で大変だったりしたらわたしも時々そうしてるし。あっそうだ!今晩は豚カツにしよっ。パパが食べたがってたから』
「豚カツですね、スーパーで買えばいいんですよね?」
『うん、そう。豚カツだったらパパ大喜びだと思うわ。フフフ…』
「僕、ご飯も炊いたことないんですけど」
『真空パックのものを買えばいいわ。とにかく豚カツよ、豚カツ。分かった?』
「はい」
僕はなぜそこまで豚カツにこだわるのか分からなかったが、とにかく言われた通りにすることにした。
考えないでいいからそのほうが楽だ。
『それじゃあね。わたしは忙しいからもう電話できないかも』
「忙しいって美智子さん、何してるんですか?」
『デートよ、デート。可愛い女の子に逆ナンされちゃって…あっ彼女が戻ってきた。それじゃ切るね。あとよろしく』
「えっ、ちょっと…美智子さん」
電話はすでに切られていた。

僕はすぐに電話をかけたが、呼び出し音がするだけで全く出る気配がなかった。
(仕方ないな、とにかく宙くんのおむつを替えよう)
僕は美智子さんに押し入れに置いてある紙おむつを見つけた。
宙くんは大きなタオルの上で大の字になって眠っていた。
僕は股のところのボタンを外した。
紙おむつのテープを剥がし、お尻を浮かすように宙くんの両脚を持ちあげた。
(うわぁ、ウンチまみれだ…)
宙くんのお尻をウェットティシュで拭いた。
綺麗にするまで5度も拭かないといけなかった。
新しい紙おむつをつけ、ウンチのついた紙おむつをベランダのゴミ箱に捨てた。
宙くんは何事もなかったかのようにスヤスヤと眠っていた。

「あ〜、腹減った…。冷蔵庫にあるもの食べていいって言ってたよね」
僕は冷蔵庫の中を見た。
「何にもないじゃん」
冷蔵庫には料理の材料はあってもそのまま食べられるような物はなかった。
冷凍庫に食パンを凍らせてあるのを見つけ、それでトーストを作ることにした。
「冷凍した食パンでトーストなんて、もうちょっとマシなものを置いていてくれたらよかったのに…」
文句を言いながらも背に腹は代えられずに僕は冷凍の食パンをオーブントースターに入れた。
「ジャムはないのかな?」
僕はトーストにはジャムをつけるのが好きなのだ。
でも冷蔵庫にはジャムはなかった。
マーガリンがあるだけだった。
「仕方ない。マーガリンで我慢するしかないか」
僕は焼けた食パンにマーガリンを塗った。
結局トースト2枚と牛乳だけが僕の昼食だった。

(うう、おしっこしたい…)
宙くんのウンチの始末をしてるころからおしっこがしたかった。
でも何となく我慢していた。
いよいよ我慢も限界に達していた。
僕は反射的に股間を押さえた。
もちろん股間にはあるべきものがなかった。
僕は美智子さんの恥ずかしいところを見ていいのか迷った。
(美智子さんとしておしっこしていいのかな?でもおしっこを我慢しちゃ膀胱炎になっちゃうだろうし…)
僕は少しの間迷っていた。
でも結局は我慢できなかった。
僕は大急ぎでトイレに飛び込んだ。
ショーツを膝のところまで下げた。
スカートが短いので、楽だった。
『シャーーー』
便座に座るとすぐにおしっこが出てきた。
「ふぅ〜。間に合った」
おしっこが終わると、僕はまたまた戸惑った。
「拭く…んだよね…」
僕はおしっこの出たところを見ようとした。
でも胸とスカートのせいで全然見えなかった。
きっと拭かないと不衛生なんだろうと思い、僕はトイレットペーパーを少し取った。
そして、おしっこが出た辺りを叩くように拭いた。
すごく奇妙な感覚だった。
おかげで意識が美智子さんの身体に向いてしまった。
(この身体は美智子さんの身体だけど、今は自分の身体なんだから見てもいいよね?)

僕はトイレから出ると全身が映る鏡の前に立った。
そして服を脱ぎ、下着だけになった。
「これが美智子さんの身体なんだ…。こんなに綺麗な身体が今は僕のものなんだ…」
僕は鏡に映る大人の女性の裸体に文字通り目が釘付けになった。
「駿くん、好きにしていいのよ」
僕は美智子さんになったつもりで(実際美智子さんになってるんだけど)、仮想の僕を誘惑した。

僕はブラジャーの上から乳房を揉んだ。
「駿くん、いいわ。もっと揉んで」
僕は優しく乳房を揉んだ。
(柔らかい…。気持ちいい…)
鏡の美智子さんの目が艶っぽい。
僕は自分が胸を触っていることと、同時に触られていることに興奮していた。

僕はブラジャーの中に手を入れた。
そして乳首に触れた。
(あっ、乳首が硬くなってる)
硬くなった乳首から鋭い快感が全身を駆け抜けた。
「…ぁ……」
思わず声が出た。
(気持ちいい…)
僕は乳首の先に触れたり、乳首を摘んだりした。
「駿くん、いいわ……もっと……」
僕は手をショーツのところに移動した。
ショーツの上から前の部分を上下に触った。
何となく湿り気を感じた。
僕はショーツの中に手を入れた。
「駿くん……そこはダメよ………」
予想通りそこはすごく湿り気を帯びていた。
(濡れてる………僕…感じてるんだ……)
僕は割れ目に指を這わせた。
割れ目の中にとっても敏感なところを見つけた。
少し触れると全身にすごい快感が走った。
(これがクリトリスなんだ)
乳首なんかとはレベルが違う快感だ。
僕は立っていられなくなって、床に寝転んだ。
そして我を忘れてクリトリスを触り続けた。
部屋にはクチュクチュクチュクチュと淫靡な音が響いた。
そして僕は外に声が漏れることも忘れて大きな声で喘いだ。
どれくらい時間が経ったのだろう。
僕を現実に引き戻したのは宙くんの泣き声だった。

僕はノロノロと立ち上がった。
(僕……何やってんだろう?)
性器が見える程度までずり落ちたショーツをあげ、乳房が見える程度まで捲れ上がったブラジャーを正した。
そして脱ぎ捨ててあったタンクトップとスカートを身につけた。
(これでいいかな)
僕は宙くんのところに急いだ。
宙くんは僕が抱き上げると、すぐに泣きやんだ。
不思議そうな顔をしてジィーッと僕の顔を見ている。
もしかすると母親の変な声に宙くんが不安を感じているのかもしれない。
「ごめんね、宙くん」
僕のその言葉に宙くんはやっとキャッキャッと笑った。

時計を見ると3時を過ぎていた。
(そろそろ夕食の買い物をしておいた方がいいのかな)
僕は買い物に行くことにした。
僕は部屋を出て宙くんをベビーカーに乗せた。
そのときになって初めて自分が薄着だったことを思い出した。
「宙くん、ちょっと待ってね」
僕は部屋に掛かっているダウンジャケットを着た。
(下は……どれ着ていいか分かんないからいいや……)
僕はダウンジャケットだけを着て外に出た。
「それじゃ宙くん行こうね」
僕は近くのスーパーマーケットに向かった。
歩いて10分ほどだけど、スカートで歩くのはとても頼りなかった。
ほとんど何も穿いてないように思えた。
それでも寒さは感じなかった。
美智子さんの姿で外出してることに興奮していたせいかもしれない。
時々すれ違う男の人が僕のことを見ている。
大体の人が僕の顔を見て、それから脚を見る。
僕の、というより美智子さんの脚は綺麗だもんな。
僕は自分が女性として見られてると思うとますます興奮していた。

スーパーマーケットに着いた。
(美智子さんのお金だけど使っていいのかな。仕方ないよね?)
僕は少し不安だったけど、美智子さんからの買い物の指示もあったので問題はないんだと思うことにした。
僕は美智子さんに言われた通り揚げてある豚カツを買った。
何枚買えばいいのか分からなかったけれど、2枚ずつ食べるとして4枚買った。
それからカット済みのキャベツと出来合いのポテトサラダを買った。
これを皿に盛りつければいいだろう。
そして真空パックのご飯を買って、インスタント味噌汁を買って買い物は完了だ。

僕は家に帰るのにちょっと寄り道して、宙くんと散歩した。
家の近所だと美智子さんと宙くんを知ってる人と会うとまずいので少し離れた公園に来たのだ。
30分ほど公園で遊んで家に帰った。
家に着いたのは5時前だった。
そして、すぐに皿に盛りつけた。
真空パックのご飯を温めて、ジャーにうつして保温にしておいた。

6時になって宙くんの夕食を作った。
作ったと言っても缶詰を開けて皿に移しただけだけど。
宙くんを幼児椅子に座らせて宙くんだけ一足早い夕食を始めた。
口にスプーンを持って行くとおいしそうに食べてくれる。
僕が作ったものじゃないけど、何となく嬉しかった。
宙くんに食事をさせるだけで1時間近くかかった。
離乳食が終わると、ミルクだ。
200cc作ったけど、160ccほど飲むと宙くんはウトウトしだした。
「宙くん、ゲップしなきゃ」
僕が慌てて抱き上げるとすぐにゲップした。
そしてそれをきっかけにまた目が覚めたようだ。

7時になっても憲弘さんは帰ってこなかった。
(あーあ、お腹減ったなあ)
いつもだったらもう食べてる時間だ。
僕は宙くんとアンパンマンのビデオを見て憲弘さんを待った。

8時を過ぎて、ようやく憲弘さんが帰ってきた。
「お帰りなさい」
「ただいま」
憲弘さんはテーブルの上の料理を見た。
「おぉ、今日は豚カツか」
憲弘さんは僕の顔を見て嬉しそうに笑った。
きっと豚カツが好きなんだろう。
美智子さんの言う通りにして正解だった。
「宙、いい子にしてたか?」
憲弘さんは宙くんに話しかけた。
宙くんはキャッキャッと笑った。
「そうか、いい子にしてたか」
憲弘さんはスーツをハンガーに掛け、食卓についた。
僕と憲弘さんは一緒に夕食を取った。
僕は2枚食べられるつもりだったけど、1枚でお腹がいっぱいになった。
憲弘さんにもう1枚食べてもらった。
美智子さんの身体だとあんまり食べられないみたいだ。

「みっちゃん、お風呂入れる?」
僕がテーブルを片付けていると、憲弘さんが聞いてきた。
「あっ、忘れてた」
僕はお風呂を沸かすのを忘れてたのだ。
「いいよ、いいよ。宙に振り回されて大変だったんだろうし、何てったって今日は豚カツだしね。僕が沸かすよ」
「お願いします」
豚カツがどういう関係なのかよく分からないけど、憲弘さんの厚意に甘えさせてもらうことにした。

憲弘さんは自分で風呂を沸かし、風呂に入った。
「みっちゃん、宙、連れてきて」
僕はその言葉に宙くんを裸にした。
「宙くん、パパとお風呂入ろうか」
宙くんはやっぱり嬉しそうに笑っている。
子供って可愛いな。
美智子さんになってるせいか母性本能に目覚めたみたいだ。
僕は宙くんを浴室に連れて行った。
「お願いします」
僕は宙を憲弘さんに渡し、食器を洗った。
「おーい、宙、出すぞ」
洗い終わったころに憲弘さんの声がした。
「はーい」
僕はバスタオルを持って、宙くんを受け取りにいった。
僕は宙くんをバスタオルにくるみ
「宙くん、パパとお風呂入れて良かったね」
僕は宙くんにおむつをつけて、お茶を飲ませた。
宙くんはまたご機嫌で遊びだした。

「みっちゃん、ビールはない?」
憲弘さんがお風呂から出てきた。
僕は冷蔵庫を見た。
缶ビールが5本ほど入っていた。
僕は1本出して憲弘さんの前に置いた。

「それじゃお風呂に入ってきます」
僕はお風呂に入った。
(あーあ、やっと一日が終わったぁ)
僕にとって長い一日がようやく終わろうとしていた。
今日はすごく疲れた。
僕は簡単に身体を洗ってお風呂から出た。
身体を簡単に拭き、パジャマを着た。

僕は宙くんにミルクを飲ませた。
すると宙くんはウトウト眠り始めた。
僕は宙くんを起こさないようにベビーベッドに寝かせた。

憲弘さんはベッドで何かの本を読んでる。
僕は憲弘さんの隣のベッドに入った。
すると僕のベッドに憲弘さんが潜り込んできた。
(えっ?なんで?)
僕は狼狽えた。
「久しぶりだよね、宙が産まれてから結構間隔が空くようになったけど今回は2週間以上空いたもんね。豚カツが夜の合図だったなんて忘れてたよ。新婚のとき以来だよね。懐かしいよな」
(豚カツってそういう意味だったんだ。美智子さんは僕にエッチさせようとしてたわけか)
そんなことを考えている僕の手を取り、憲弘さんは自分の股間にあてた。
憲弘さんのおちんちんは勃起していた。
「やめてください」
「だって今日は豚カツだったじゃないか。今さらダメって言われても止められないぞ」
僕は男と女がセックスするということは知っていても具体的にどういうことをするのか知らない。
アダルトビデオでも見てれば分かるんだろうけど、僕は見たことはなかった。
裸で抱き合うくらいしか知らなかった。
どうしていいのか迷っていると、憲弘さんの顔が近づき、僕にキスしてきた。
憲弘さんはキスしながら僕の胸を揉んでいる。
「んんん……」
僕はやめてくださいと言おうとしたけど唇を重ねられていて喋れなかった。

憲弘さんのキスは長かった。
僕の口の中で憲弘さんの舌で舐めあげられた。
僕はなぜか憲弘さんのキスに酔ったようになってしまった。
一生懸命に憲弘さんの舌に対して自分の舌を絡めた。
でも自分でもどうしてそんなことをしているのか理解できなかった。

いつの間にか僕のパジャマのボタンが外されていた。
乳房を触られながらずっと唇を覆われていた。
憲弘さんの手が僕の乳房を覆う。
僕は快感に身をよじった。
憲弘さんの愛撫は執拗だった。
僕は気持ち良さに抵抗する気は失せていた。
むしろ積極的に快感を得ようと思っていた。

なおもキスされながら憲弘さんの手がショーツの中に入ってきた。
憲弘さんの手が僕の感じやすいところに触れた。
僕は声を出したかった。
でも憲弘さんに唇を覆われていて声を出せなかった。
気持ちよくって苦しくなってきた。

ようやく憲弘さんのキスから解放された。
「はぁぁぁ……」
僕は大きく息をした。
憲弘さんは僕のパジャマのズボンを脱がせた。
憲弘さんは僕の脚を持ち上げ、僕の股間におちんちんを当てた。
そして、憲弘さんのおちんちんが僕の中に入ってきた。
「ん…ん…ん…ん…ん…ん…ん…」
僕は突然のことに逃げようと身体をよじった。
「何か今日は新鮮な反応だな。まるで最初のころに戻ったみたいだ」
気持ち悪くて、気持ち良すぎて、どうにかなっちゃいそうだ。
僕は少しずつ快感が高まっていきそうな気がした。
でもその途中で憲弘さんの動きがとまった。
憲弘さんのおちんちんから温かいものが僕の中に放たれたのを感じた。
「何か今日のみっちゃん、昔のみっちゃんみたいだった」
憲弘さんが僕に軽くキスをして、おちんちんを抜いた。
「それじゃ、みっちゃん、お休み」
憲弘さんは自分のベッドに戻っていった。

憲弘さんはすぐに寝息を立て始めた。
きっと眠っちゃったんだろうな。
でも、僕は気持ちが高ぶって眠ることはできなかった。
しかも、もう少し昇りそうなところで憲弘さんが終わっちゃったんで、身体もまだ火照ったままだった。
もっと感じたい。
僕は欲求不満の状態だった。

僕は自分で乳房を揉んだ。
右手で膣に触れた。
中からさっき憲弘さんが出した精液が出てきている。
僕はそれを指につけてクリトリスを触った。
「ぁぁ……」
僕は声が出そうになった。
でも隣のベッドで寝ている憲弘さんを起こしちゃ悪いと思って声を押し殺して自分の性器をいじった。

「みっちゃん、まだ物足りなかったの?」
僕がオナニーに集中していたせいで、憲弘さんがまた僕のベッドのほうにやってきたことに気がつかなかった。
声を押し殺したつもりだったけど、やっぱり起こしちゃったんだ。
「久しぶりにもう1回目やろうか」
そう言って憲弘さんは自分のおちんちんを触った。
「それじゃあさ、みっちゃんの口でまた元気にさせてよ」
ベッドの横で立ち止まり、僕の顔におちんちんをくっつけてきた。
変な匂いがする。
というか臭い。
「やめてください」
僕がそう言ったせいで僕の口が開いた。
憲弘さんはそのタイミングで自分のおちんちんを僕の口に突っ込んだ。
「んんんんんんん」
もう一度『やめてください』と言おうとしたけど、憲弘さんのおちんちんのせいでちゃんと喋れなかった。
さっきのセックスのせいで憲弘さんのおちんちんには精液と美智子さんの膣の中の液体がグチャグチャに混ざった状態だ。
気持ちのいいものじゃなかった。

でもしばらく銜えているとそんなに匂いが気にならなくなってきた。
気にならないどころか面白くなってきた。
僕の舌の動きに憲弘さんのおちんちんが反応するのが面白いのだ。
舌の先で憲弘さんのおちんちんの先をツンツンしてあげると憲弘さんの身体がビクッとするのだ。
ちょっと凹んだところに舌を這わせるととても気持ち良さそうだった。
僕は一生懸命に憲弘さんのおちんちんに刺激を与えた。
憲弘さんのおちんちんはある程度固くなったところから、なかなかそれ以上固くならなかった。
さっき1回終わってるせいなんだろうな。
そんなことを考えながら一生懸命おちんちんを舐めた。

「みっちゃん、もういいよ。いつもより気持ちよかった」
憲弘さんはおちんちんを銜えていた僕の唇にキスしてくれた。
臭くないのかな?
憲弘さんはすぐにおちんちんを僕の中に入れてくれた。
さっきほど固くはないけど、やっぱり気持ちいい。
憲弘さんはゆっくりゆっくり腰を動かした。
僕もそれに合わせて腰を振った。
憲弘さんは今度はなかなか射精できないようだった。
さっきより長い時間、腰を動かしていた。
僕にとってはそのおかげで気持ちのいい時間が長く続いた。
「ぁ……すごく……いい……」
さすがに一度経験したから、僕は比較的余裕を持って快感を楽しんでいた。
それでもある瞬間から身体の中から爆発的な快感が湧きあがって来た。
「…ああああああ…何か変……おかしくなりそう……」
僕は憲弘さんの腰の動きを無視して自分だけ腰を速く振った。
「…ああああああ……もう……もうダメ……」
身体は憲弘さんのおちんちんが挿入されたまま仰け反り痙攣まで起こしてしまった。
僕の意識が飛んでしまった。
僕はオーガズムに達したのだ。

「みっちゃん…みっちゃん…」
目の前に憲弘さんの顔があった。
「みっちゃん…行ったんだ」
「うん、そうみたい」
「そこまでの状態になるのって初めてだよね?やっぱり今日はいつもと違うな、何か興奮してきたよ」
僕は行くというのがこういうことなのかどうかは分からなかったけど、とりあえずとんでもない快感だった。
きっとこれが行っちゃうってことなんだろうなと思った。
そんなことを考えていると、また新しい刺激を感じた。
「あっ…」
憲弘さんはまだ動いていたのだ。
「みっちゃんは行ったみたいだけど、まだ僕は行ってないんでもう少し続きをするよ」
僕は何も言わずに肯いた。
そして憲弘さんの腰の動きに合わせて自分の腰を動かした。

憲弘さんの腰の動きが速くなってきた。
僕はいきそうな感じがした。
「ああああああ……来てぇ………行きそう……………」
「あああ…みっちゃん…出そうだ……」
「出して……あたしの中に………」
「ああああああ……」
憲弘さんのおちんちんから温かいものが放出された。
僕はさっきと同じように身体が痙攣し、意識が途切れた。
今度は僕と憲弘さんは一緒に行くことができたみたいだ。
僕は憲弘さんの背中を強く抱きしめた。
じっとこのままいつまでも離れたくないと感じたのだ。
しばらくして憲弘さんが僕の中から出ていこうとしたとき僕は憲弘さんの動きを止めた。
「もう少し…このままでいて……」
僕は少しでも長く自分の身体の中で憲弘さんを感じていたかった。
僕はなかなか引かない快感の中を彷徨っていた。
やがて僕は眠ってしまった。
僕は憲弘さんが抜けていったことにも気がつかなかった。


「みっちゃん、もう会社に行ってくるから」
僕は憲弘さんの言葉で目を覚ました。
「みっちゃんが寝過ごすなんて珍しいな。今日はあんまり気持ちよさそうに寝てたんで起こさなかったんだ、ごめんね」
そう言って、僕のおでこにキスをした。
僕はなぜか暖かい気持ちになった。

「行ってらっしゃい」
僕はベッドから憲弘さんを送り出した。
何も着ていなかったからベッドから離れられなかったのだ。

それにしても今日は気分がスッキリしている。
これも昨夜のセックスのおかげなのかな?
それとも朝のキスのせいかな?
僕は少しだけ大人になったような気がした。

僕は昨夜の憲弘さんの痕跡を洗い流すためにシャワーを浴びることにした。
僕は裸のまま浴室に行った。
僕は温かいシャワーで身体を洗い流した。
(なんか美智子さんの身体に馴染んじゃったなあ)
僕は身体を洗いながらそんなことを思った。

僕はバスタオルを胸のところで巻き、宙くんのところに行った。
宙くんはまだ寝ている。
宙くんが寝ている間に洗濯しなきゃ。

僕はタンスから服を取り出して服に着換えた。
昨日と同じようなミニスカートとTシャツを着た。
そして汚れ物を洗濯機に入れてスイッチを入れた。
そこまでしてから、宙くんのおむつを取り替えた。
宙くんは機嫌よく目を覚ました。

洗濯が終わると、洗濯物を干して、部屋に掃除機をかけた。
普通に主婦できてるのはなぜだろう?
僕は家事をこなしてから宙くんと遊んだ。

時計を見るといつの間にか12時を過ぎていた。
(あとちょっとで24時間だ)

僕は宙くんの横に寝転がった。
「宙くん、たった1日だったけど、宙くんのママを体験できてよかったよ。宙くんはどうだった?」
僕の言葉に宙くんはキャッキャッと笑った。
「楽しかったんだ。僕も楽しかったよ、パパは優しいしね」
僕は宙くんの頭を撫でた。
「それじゃ本当のママには怒られるかもしれないけど、最後におっぱい飲もうか?」
宙くんはやっぱり言葉が分かるようだ。
おっぱいに近づいてきた。
僕は服をまくり上げて宙くんにおっぱいをあげた。
宙くんは満足気におっぱいを飲んでいる。
「……宙くん………」
僕は宙くんの頭を撫でた。
そんなことをしているうちに僕はいつの間にか眠ってしまった。

気がつくと僕は自分の部屋にいた。
鏡を見ると僕が映っていた。
元に戻ったのだ。
しかし戻れたことが嬉しいような残念なような不思議な気持ちだった。

(また美智子さんになれるチャンスがこないかなぁ…)
考えるともなくそんなことを思った。


《完》

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