バレンタインチョコ
「あの、これ」
ボクは晃平にチョコを差し出した。
「何だよ、これは?日頃の感謝とかか?」
「いや、それもあるけど…」
晃平はボクの友だちだ。
親友というほどではないと思うが、いつも一緒に行動していた。
突然女になったボクを周りの人間は当然のように特別視する。
そんな中、唯一変わらずにつき合ってくれたのが晃平だった。
そのことがボクをどれだけ救ってくれたかしれない。
晃平といるときだけが、ボクがボクでいられる時間だった。
だけどボクの内面の変化がそんな関係の継続を許してくれなかった。
晃平に対する気持ちが少しずつ変化してきているのだ。
そのことにボクは戸惑った。
ボクの中で消化しきれない思いがどんどん溜まっていってしまう。
もう爆発寸前だ。
だから今日思い切って告白するんだ。
「…ボク、晃平のこと、異性として好きなんだ!」
晃平は驚いた表情を浮かべて、そしてすぐに優しい表情になった。
「それじゃ今から親友 兼 恋人ということになるのかな」
そう言って、ボクを優しく抱きしめてくれた。
そして優しいキス♪
たぶんだけど、晃平とこうなるために、ボク、女の子になったんだよね?
《完》