失った力
「ほら、気持ちいいだろ?若い女に握ってもらってるんだからな」
俺は握り慣れたモノを握っていた。
なぜならこの身体はついさっきまで俺の身体だったのだから。
俺は自分の寿命と引き換えにこの入れ替わりの力を手に入れたのだ。
そしてすぐにこの力を知り合いの女に使ってみたのだ。
「射精したらもうお前はこの身体から抜け出せないんだ。元に戻りたかったら、射精しないよう頑張るんだな」
これは嘘だ。
射精したとしても、元に戻ることはできるのだ。
俺がそれを望みさえすれば。
しかしあっげなかった。
すぐに大量の精子を放出しやがった。
「あ〜あ、これでお前は俺として生きていくしかないな。仕方ないから俺もお前として生きて行ってやるよ」
俺は元の俺の身体を置いて、部屋を出て行こうとした。
すると俺になった女が後ろから襲ってきた。
「戻れないんだったら、アンタもメチャクチャにしてやる」
「や、やめろ。冷静になれって」
「こんな状況で冷静になれるわけないでしょ」
「落ち着けって。さっきのは嘘だから。元に戻ることはできるから」
「またいい加減なこと言って。もう騙されないんだから」
そして俺は元の俺に犯された。
何度も何度も中出しされた。
逆流した精液が尻につたっているのを感じる。
決して気持ちのいいものではなかった。
興味本位で女になってみたが、女なんてもうこりごりだ。
俺は元に戻ろうと気を集中した。
しかし戻ることはできなかった。
妊娠したら元に戻れない。
妊娠したらもう力は使えない。
この力を手に入れたときにそう言われていた。
俺は間違いなく妊娠してしまっている。
《完》